星くずインターセクション

平凡なものを不滅にするってすごくクールだ◝✩

星が死ぬとき、いちばん輝く

わたしが地上での最期を迎えて星(ここで言う星は恒星のこと)になったとして、星にも寿命はあるよな、などと考える。人間よりはうんと、うんと長生きをするのだろうけれど。

 

恒星がその命を終えようとするとき、超新星爆発という大爆発を起こすらしい。わたしはこの言葉を“超”新星だと思っていて、“彗星のごとく現れた”とか、”新たなスター誕生”のような意味だと勝手に解釈していた。どうやら大きな勘違いだったみたいだ。英語だと“supernova”(Oasisの曲「Champagne Supernova」を思い出す。歌詞はともかくとして、階段を下っていくようなコード進行がとても好き)。この爆発をもって、星は全てのエネルギーを放出して消えていく。その瞬間、強く大きく光りを放つ。そして爆発によってかけらとなった星は宇宙へと広がり、次なる星の材料となる。(参考: 星の寿命はいつまでですか?/読むらじる。-NHK

 

なんだか、このブログのタイトルそのものみたいだ。この世界の誰かが生み出した音楽や映画や本、友人や家族の言葉、ありとあらゆる要素を星くずに例えて、それらがわたしの中に集いかたちを変えて再び世界に還ったらいい、わたしが星くずたちのインターセクション=交差点になってみたいと願いを込めて名付けた。当初は超新星のことなど知らなかったけれど、宇宙のそこかしこに散らばる星のかけらが長い時間をかけて集まり、新しい星を誕生させることとぴたりと重なる。

 

わたしがまだ大学生だった頃、大好きな友人とお泊まり会をした。極めて静かな夜、友人は自身の恩師を呼んでくれ、共にささやかな星の観察会を開いた。刺されるような寒さのなか大きな天体望遠鏡を覗き込み、オリオン座の三つ星付近に広がる星雲をながめたりした。先生が仰った。「今、わたしたちが見ている光は数百年、数千年前のものなんです」と。この事実を思い起こすと、いつも時空を歪められたような、宙ぶらりんな気持ちになる。

 

ある日、空から星が消えていることに気づいたとしても、星そのものは遥か昔に死んでいるということ。ごまんとある星の中の一つが消えたとて、ひょっとしたら誰も気づかないかもしれない。それでも、死んだ星が新たな星のみなもととなり、ひいては多くの生命体を構成する元素をも作り出すという事実は、あまりに希望的だ。

 

わたしがエネルギーを燃やし尽くすとき、超新星みたいに大爆発を起こすことはできないかもしれない。それでも、いつかの何かのためになれたらと望んでしまう。時を経て、遠く離れた場所の誰かが、そのちっぽけな明滅をいっときの道標としてくれるならーー。そんな夢を見ながら、おやすみなさい。

 

 

それでは、きょうはここまでーー

 

 

(2023.3.10)